「健診の午前枠は予約でいっぱい。でも採血を担当する看護師が足りず、受診者が長蛇の列に……。」医療現場で働く採用担当者や事務長であれば、一度はこうした状況に直面したことがあるのではないでしょうか。採血は健診や診療の入り口に位置する重要な業務です。順調に回ればその日の流れがスムーズになりますが、採血が滞れば全体の進行が遅れ、患者満足度を損なうだけでなく、スタッフの負担も増します。「採血だけに人が欲しい」という声は現場から多く聞かれるにもかかわらず、採用市場には“部分業務だけ”に対応できる人材が見つかりにくい現実があります。この記事では、その背景を探りつつ、採血業務を部分的に切り出して確保する新戦略をご紹介します。1. なぜ「採血だけ」が人手不足になるのか?1-1.健診シーズンの午前中に業務が集中する健診や人間ドックの予約は午前中に集中します。7時半〜11時台に来院者が殺到し、1時間に数十人単位の採血をこなさねばならない状況も珍しくありません。そのため、一時的に「採血だけに専念するスタッフ」が必要になりますが、常勤Nsがその時間に割ける余力は限られています。1-2.看護師の業務範囲が広い看護師は採血だけでなく、血圧測定や問診票確認、検査前の説明、診療補助なども担います。結果として「採血担当」としてシフトに入っていても、他の業務に呼ばれて手が足りなくなる場面が頻発します。1-3.採血スキルに個人差がある採血は基本技術ですが、ブランクのあるNsや臨床経験が少ないNsにとってはハードルが高い業務です。特に健診現場では“スピードと正確さ”が要求されるため、誰でも対応できるわけではなく、限られた人材に負担が集中します。1-4.午前希望Nsとニーズのミスマッチ「午前だけ働きたい」というNsは多い一方で、健診の採血ピークも午前に集中します。結果として、求職者は多くても「すぐに戦力になれる採血要員」は不足するという矛盾が生じてしまうのです。2.従来の解決策とその限界2-1.派遣Nsに依頼する派遣会社に「採血要員」を依頼するのは一般的な手段です。短期的には確実に人員を確保できますが、派遣費用が高騰し、採算を圧迫繁忙期は依頼が殺到し枠を確保できない同じ人が来るとは限らず、毎回の業務説明が発生するといった問題を抱えています。安定稼働を目指す施設にとっては持続可能な方法とは言えません。2-2.常勤Nsの残業や負担増「今いる人で回そう」と考え、常勤Nsに残業や追加業務を依頼するケースも多いです。短期的にはしのげても、特定のNsに負担が集中し不満が蓄積「採血ばかり任される」とモチベーションが下がる長期的に離職率が上昇するという悪循環につながります。採用担当からすれば、せっかく採用した人材を手放す結果になりかねません。2-3.医師や事務員が代行する現場によっては医師や事務スタッフが採血に関わるケースも報告されています。しかしこれは医療安全上リスクが高く、また「本来の役割」に集中できないことで現場全体の効率を下げる結果を招きます。3. 部分業務切り出しで“採血専従”を確保するメリット3-1.採用ハードルを下げられる「フルタイム勤務」「外来看護も対応」といった条件で募集すると応募は限定されます。しかし「午前3時間だけ、採血専従」と明記すれば、子育て中で短時間勤務を希望するNsブランクがあるが採血スキルに自信のあるNs副業・ダブルワークで数時間だけ働きたいNsといった層の応募を得やすくなります。3-2.スポット・副業Nsと相性が良いスポット勤務や副業Nsは、まさに「部分業務」に最適です。短時間・特定業務に集中できるため、即戦力として現場に貢献できます。3-3.常勤Nsが本来業務に集中できる採血を切り出すことで、常勤Nsは指導・患者説明・処置補助といった“質を高める業務”に専念できます。その結果、医療安全と患者満足度の両方を向上させることができます。4.実践事例:健診センターの繁忙期を救った「採血スポットNs」首都圏のある健診センターでは、4〜7月の繁忙期に毎日200人以上の採血が必要でした。派遣に頼っていましたが、希望日に人が確保できず現場は疲弊。そこで「採血だけ」を切り出し、午前3時間のスポット勤務をBee-Nsで募集しました。すると、副業Nsや子育てNsが短時間勤務を希望し、複数の応募が集まりました。結果、採血待ちが大幅に減り、受診者満足度が向上常勤Nsは案内・説明・診療補助に集中でき効率化リピーターNsを確保し、翌年の繁忙期も安定稼働といった効果が生まれました。5.採血業務を切り出す際のポイント業務フローを分解する 採血前後の案内や記録業務を常勤が担い、「採血のみ」を切り出す。動線をシンプルにする 専用ブースや動線を用意し、短時間で大量に回せる設計に。マニュアルを整備する スポットNsが1日目から即戦力になるよう、簡潔な業務手順書を用意。リピーター化を狙う 柔軟なシフト調整や良好な環境を提供し、再度働きたいと思ってもらう。まとめ|採血不足は“部分業務採用”で解決できる採血人員不足は健診・クリニック共通の悩みですが、解決のカギは「部分業務切り出し」です。従来の派遣や常勤頼みでは限界がありますが、採血だけを独立させれば短時間Nsや副業Nsを取り込めます。Bee-Nsのようなスポット活用サービスを使えば、繁忙期の即戦力確保+中長期の人材プールづくりが同時に可能です。採用担当者にとって重要なのは、「全てをフルタイム採用で解決しようとしない視点」。業務を分解して柔軟に人材を組み合わせることで、受診者満足度もスタッフ定着率も高められるのです。